鰻釣りは違法?規制と漁業・取引について

鰻は勝手に釣ってはいけない?

日本の食卓を彩る、夏の風物詩ともいえる鰻。古来からその格別な美味しさは愛され、現代まで日本特有の食文化を育んできました。

しかし、近年、乱獲や違法な取引によって、日本の鰻は深刻な危機に瀕しています。

今回は一般の鰻釣りなども含めた、鰻漁業に関わる規制の現状をお伝えします。

鰻釣りは簡単にはできない? 厳しい規制の現状

鰻漁業は、資源保護のため、厳しい規制がかけられています。一般の人が河川などで気軽に鰻を釣ることは、実は難しいのです。

鰻漁業に関する規制は、都道府県ごとに異なりますが、主なものとして以下のようなものがあります。

 ●漁業権:多くの河川では、漁業権が設定されており、鰻に限らず、勝手に釣りや漁をしてはいけません。

 ●漁具の規制: 稚魚を巻き込みやすい網などの使用は禁止されています。

 ●自治体ごとの規則: 鹿児島県では、全長21cm以下の鰻は通年で採捕禁止、網や筒など仕掛けを使用した採捕も禁止されています。

これらの規制を無視した違法な漁獲は、資源保護だけでなく、漁業の秩序を乱す行為として、厳しく罰せられることになります。

背景には違法な国際取引の横行が

2013年、環境省により、ニホンウナギは絶滅危惧ⅠB類としてレッドリストに掲載されました。これは近い将来において、鰻が野生での絶滅の危険性が高い種であることが認められたこととなります。このことから、世界的に鰻の資源保護を目的とした対策が求められるようになりました。特に鰻の食文化が強く根付いている日本は鰻の消費大国のため、より大きな対策を講じる必要があります。

現状、深刻なのは、鰻の漁獲規制や輸入量の制限に乗じた違法な漁業・取引の問題です。海外から輸入されるシラスウナギの多くが密漁によって漁獲されたというデータが出ており、正規ルートを通さずに流通している鰻が問題となっています。

私たちに何ができるのでしょうか?

鰻の現状と違法な漁業・取引の影響について、意識を高め、周囲の人々にも広く知ってもらうことが大切です。日本の食文化を支える大切な資源である鰻を守るため、私たち一人ひとりが問題意識を持ち、行動することが求められています。

  • 養鰻場
    鹿児島鰻では鰻の食文化を守るため、日々養殖技術の発展に尽力しています。