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ここまで進んでいる!鰻の養殖技術の現在

■鰻の養殖技術の現在

ウナギの完全養殖は、水産業界が長年目指してきた夢の技術です。しかし、ウナギは飼育環境下で自然に成熟し辛く、完全養殖の実現には大きな課題がありました。 近年の研究では、人間の不妊治療や家畜の繁殖を制御に使われている方法で成熟を誘導し、質の高い卵や精子を得る技術が大きく進展しています。 最新のウナギ養殖技術についてご紹介します。

■ウナギの人為催熟法で卵の質と生存率を向上

鰻の完全養殖の鍵の一つとして、ウナギを人為的に成熟させる技術の開発が挙げられます。 ウナギの成熟を促すためには、生殖腺刺激ホルモン(GTH)と呼ばれるホルモンが必要です。しかし、従来の方法ではサケや家畜など、ウナギ以外から得られるホルモンを利用しており、量や効果に限界がありました。 最近の研究では、遺伝子組換え技術を活用し、ウナギ由来のGTH(rGTH)の大量生産に成功しました。このホルモンによって、雄ウナギでは精子の運動性が飛躍的に向上し、雌ウナギではより多くの良質な卵を得ることができるようになりました。

■新しい採卵法で成果倍増

従来の催熟・採卵法と比較して、新たに開発された「GTH法」は、質と量の両面で大きな成果を挙げています。この方法では、rFSHやLHRHa(人工ホルモン)を組み合わせることで、卵の質が従来法の約1.5倍に向上。また、1匹の親魚から得られる孵化仔魚の数も約2倍に増加しました。 また、卵母細胞の成熟が非常に均一で、良質な受精卵を得るタイミングを正確に把握できる点も、この技術の大きな利点です。

■未来のウナギ養殖の姿

これらの研究成果は、持続可能なウナギ養殖への道を切り開くものです。天然資源に依存せず、高品質なウナギを安定して供給できる可能性が広がっています。また、これらの技術は他の魚種への応用も期待されており、水産業のさらなる発展に役立つでしょう。 ウナギ養殖の技術は、今や「自然に頼る」段階から「科学で支える」段階へと移行しています。これまでの研究と技術の進歩が、日本の水産業の未来を大きく変える日もそう遠くないかもしれません。
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    現在食べている鰻は、稚魚である自然のシラスウナギを採って育てたものです。
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    この先も美味しい鰻を食べるためにも、技術の発展が不可欠です。