養鰻場日記

ウナギには毒がある?

生が避けられる理由を解説

ウナギの血液には毒がある

ウナギを始めとするウナギ目の仲間には、私たちの知らず知らずのところに隠された自然の仕組みが存在します。それは、鰻の血液に含まれる特有のタンパク質「イクチオヘモトキシン」とという名の毒です。 この毒は非常に強力ですが、通常の加熱調理で毒性は失われるため、ふだんの食事で人間が影響を受けることはまずありません。 ただし、鰻の血が誤って皮膚や目に触れた場合は、痛みや炎症などといった症状が出ることがあるため、うなぎ釣りや活魚の調理などの際には注意が必要です。 「串打ち3年、裂き8年、焼き一生」とあるように、鰻職人は長年の修行を経て鰻の調理を行います。鰻の血液に対するリスクを理解し、私たちに美味しい蒲焼きを届けているのです。  

ぬるぬるした粘液にも注意!

夏の川遊びや釣りの際に、ウナギを見かけて触ったり取ったりしたとしても、すぐにきれいな水で洗うようにしましょう。 ウナギの粘液は、アナゴやハモ、ウツボなど、他の魚にも見られます。この粘液は外敵から身を守るだけでなく、水分を蓄えたり皮膚呼吸を可能にしたりします。また海水と淡水を行き来するための浸透圧調整にも役立っています。 なおウナギの粘液も熱を加えると毒性が失われるため、鰻の蒲焼きなどで毒を食べてしまうと言ったことはありません。  

血抜きした珍味、うなぎの刺身とは

鰻には血液と粘液に毒がありますが、熟練した職人が「完全血抜き」の処理を施すことで、毒を除去し、なんと生でも安全に食べられるようになります。 鰻の刺身は、鯉の刺身を高温のお湯で洗った「鯉の洗い」にも似た食感と、独特の甘みがあり、まさに食通を虜にする味わいと言われています。 うなぎの刺身は、専門店や通販で購入できます。食中毒になる危険性がありますので、くれぐれも自分でさばいて生で食べようとしないでくださいね。