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レプトセファルスの代表的な2つの特徴を解説
謎が多いレプトセファルス
レプトセファルスの特徴の1つ目は、透明な身体を持つということです。 海の世界には、透明性を持つ生き物がいくつか存在します。イカやクラゲ、メダカの子どやクリオネもそうです。観賞魚で言うと骨格以外が透き通って見えるグラスキャットフィッシュや、鮮やかな蛍光色に染められたグラスフィッシュなどが有名です。その中でも、レプトセファルスの身体はほぼ完全に透明で、その繊細な形状は、まるで水の中を舞う幻のように見えます。 レプトセファルスは海中での生存戦略としてこの透明性を身に着けていると考えられます。透明な身体は、捕食者からの保護や、効率的なプランクトン捕食のためのカモフラージュとして機能しています。 この透明性は、レプトセファルスが成長するにつれて徐々に失われていきます。シラスウナギの段階でもまだ透明性を保っていますが徐々に白く色が付いてきて、やがて成鰻になるとその色は黒く変化します。これは紫外線から身を守るための適応と考えられています。レプトセファルスの特徴2:通し回遊(川と海をめぐる回遊)のために長距離を移動
鰻の幼生であるレプトセファルスは、その生涯で驚異的な長距離を移動することで知られています。この「通し回遊」とも呼ばれる現象は、海と川の両方を行き来する比較的珍しい性質で、世界中の魚類の中でもこのような回遊を行う種は全体の約1%と言われています。レプトセファルスの他には、スズキ目のアユカケや甲殻類ではモクズガニなどがあげられます。 レプトセファルスは、マリアナ海溝付近から生まれ、そこから海流に乗って数千キロメートルもの距離を旅すると言われています。この長距離回遊は、鰻の生態系における重要な役割を果たしています。海で生まれたレプトセファルスは、成長する過程で淡水域へと移動し、最終的には成鰻となって再び海へと戻るという一生を送ります。 また、近年では海で生まれて海で生涯を終える「海ウナギ」の存在も注目されています。このような特殊な鰻の研究は、鰻の養殖においても貴重な知見を提供し、私たちがより良い養殖方法を開発するための手がかりとなっています。終わりに
今回は、レプトセファルスの代表的な特徴を2つご紹介しました。 鰻の生態に関する謎は、今もなお多く残されています。しかし、その一つ一つが解き明かされるたびに、鰻の養殖技術は進歩し、より高品質な鰻をより手頃な価格で提供できる可能性が高まっていきます。 鹿児島鰻では、美味しい鰻をより多く皆さまに提供するため、日々研究と実践を重ねて参ります。