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鰻漁の移り変わりと天然鰻の漁獲

今も天然鰻の漁獲は続いている

毎年、土用丑の日をはじめとして、日々好まれている鰻料理。 現在ではお店で食べられている鰻の99%以上が養殖の鰻となり、冬~春にかけて鰻の子どもである「シラスウナギ」を採捕して育てることが一般的になっています。 しかし、成魚の鰻漁はなくなったわけではなく、今でも天然鰻の成魚の漁獲は行われており、少量ながら市場にも流通しています。鰻漁の漁法の移り変わりを追ってみます。

現代でも続く延縄漁と鰻受けを使った漁

延縄(はえなわ)漁はマグロやタイ、サケなどの漁でも使われている、枝分かれしたたくさんの縄を使った漁法です。延縄漁は、一本の長い幹縄(みきなわ)に、何千本もの枝縄を垂らし、そこに釣り針を仕掛けることで魚を獲ることが特徴です。延縄漁は現在でも天然鰻漁で一番漁獲量がある、主流の漁法となります。漁をする地域によって、エビやミミズなど、釣り餌を変えて行います。 天然鰻漁では、鰻受け・鰻筌(うなぎせん)と呼ばれる漁法もあります。この漁法では、竹を編んだ筒の中に餌を入れ、川に沈めて使います。竹筒の入口には返しが付いているため、一度鰻が入ると抜け出せない、という仕組みです。 通常の釣り方としては「ブッコミ釣り」があります。夜間に河口付近から復数の釣り竿を使って、ミミズなどを餌として釣ります。

昔はほかにも様々な道具を用いた漁法があった

天然鰻の成魚の漁が主流だった時代には、たくさんの鰻漁の道具や漁法などがありました。 鰻突や鰻掻き(鰻鎌とも)を使った鰻を突いて捕る漁法は、鰻の身を傷つけてしまうため流通させるのは困難ですが、農家の方が用水路やため池などで行い、自家消費用に捕るといったこともあるようです。 また、竹や細い木の枝を束ねてほうきのような形にしたボサと呼ばれる道具を数日間川底に放置し、小魚やカニなどの住みかを作って捕るボサ漁や、石を積み上げてうなぎの住みかにした後、網で捕る石倉漁といった漁法もありましたが、現在ではごくわずかな地域で残っているのみとなっています。

天然鰻の漁には注意が必要

ここまで鰻漁の道具や漁法についてお伝えしましたが、当然好き勝手に道具を使って鰻漁をしてはいけません。鰻漁業に関しては各都道府県が定める規則によって管理されています。漁業権のある河川でも、シラスウナギをはじめとする約20センチメートル以下の鰻の採捕は禁じられており、また仕掛けの使用が禁止されている場所も多いです。 近年では鰻の密漁に対する罰則が強化され、アワビ、ナマコ等とともに違法に漁を行っている者への罰金上限が3000万円まで引き上げられました。 「鰻釣りを体験してみたい」「鰻漁を見てみたい」など興味のある方は、地域の漁業協同組合(漁協)などに連絡してみるとよいでしょう。